【スーパーマーケット支援事例】売上に左右されず、利益が出る体質に 〜3つの策で生産効率が150%アップ〜

今回、支援させていただいたのは【 関東のローカルスーパーマーケット 】ローカルといえども、従業員が400名おられる大きな企業で、長年地域の皆さんの台所を支えてこられました。

抱えていたのは、下記3つの課題です。

① プロセスセンター検討の停滞
② 人事生産性がわからない
③ 衛生管理レベルの向上

それぞれを少し深掘りすると、

①は周辺開発によって大手チェーンが進出し売上減少。「原価低減のためにプロセスセンターを作りたいが手順が不明」という状況でした。

②は主にバックヤードの出勤シフトの最適化ができていないことが原因でした。店舗の人事生産性をあげて、利益率をアップさせるのが大きな目標です。

③は衛生に関する顧客ニーズが厳しくなったことで、衛生管理のレベルアップを図っておられました。

さて、3つの悩みを解決するために、それぞれでアプローチしたことをご紹介いたします。

【 ① 原価低減を実現させるためのプロセスセンターづくり 】

プロセスセンターとは、通常店舗で行われる食品の仕入れ・加工・配送をまとめて行う工場のこと。主に生鮮食品(肉・魚・野菜)が取り扱われます。
作るにあたって大切なのは、業者選定と設備仕様。スーパーならではの必要な設備があるので、「データに基づいた判断」を支援しました。

日程はプロジェクトマネジメントで管理し、約30ページの仕様書が14日で完成!現在(2024年9月23日)は、クライアント側で建設に向けた詳細を検討しておられる段階です。

【 ② 人事生産性の向上 】

要点だけお伝えすると、

  • 製造業と同じアプローチを導入し
  • 「売れに合わせた生産体制」をモデル店舗で構築

しました。こちらは、すごく大切なポイント&参考になる点が多くありますので、あらためてしっかりと後述します!

【 ③ 衛生管理の向上 】

こちらはは2024年8月から始動しています。モデル店舗で基本5原則(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に絞った習慣化を支援。

手洗い・身だしなみの明確なルール化、ダスター・薬剤・包丁の衛生管理における使い方をマニュアル化し、監査体制を構築しました。

クライアントも頭を悩ませていた人事生産性。現状をヒアリングしていくと大きな課題が見つかりました。それは「来店客のピークに合わせた出勤になっていないこと」

「出れる人が出る」シフトになっていたため

  • 売上の機会損失
  • 社員の慢性的な残業

を生み出していました。

ここを解決するために実施した【 3つの策 】をご紹介いたします。

1. 売れの可視化

1日に何がどれだけ売れたのか、詳細なデータが残っていませんでした。そこで、レジデータを加工し、曜日ごとの売れ数を推定します。ここでは、製造業におけるQC手法を活用しました。

2. 手作りの生産管理板

最初からパソコンでテンプレートを作らず、段ボールを使って1日の生産管理板を試作しました(画像①)。表を作るにも「どんな要素が必要・不必要なのか」を洗い出すためです。

それをベースに表のテンプレート(画像②)を作成し、現在はこれで管理しています。

3. 改善現場も最初は小さく始める

経営者目線だと、一気に現場を改善したいところではありますが…要注意!

  • 一気に改革すると現場は混乱
  • 軌道修正が大変

というリスクがあるので、ある1店舗の精肉部門をモデル職場とし、そこだけに絞って改善をしました。成功すれば他部門へも進行していく、という流れです。

3つの策を講じたことで

◎ トライアル段階でパートさんの生産効率が150%向上

させることができました!

30品目の精肉に4時間かかっていたのが【 2時間半 】で完了するように。毎回売り場を見ながらアナログ的に精肉の計画していたのが、作業だけに没頭できるため効率化したことが要因です。現在、ここでは作業計画の作成も継続しています。

「百聞は一見にしかず」。言葉通り、こういったモデル職場をつくることで言葉よりも理解しやすくなり、他店舗でもトライが進んでいます。

ここで現場の裏話をひとつ。

最も苦労したのは、やはり人(スタッフ)が関わる部分でした。現場に入ってみると管理体制が整っておらず、「全員がプレーヤー状態」だったのです。

この状況の打開策は「行動を見せる」こと。

精肉部門チーフが職場を管理する習慣がなかったため、店長からトップダウンで指示をしてもらうことに。実際に「管理とはどういうことか」をやってみせることで、行動変化を起こしました。

今後は

◎「改善したら社員はより付加価値の高い仕事へ」のメッセージを打ち出し、パートさんの生産品目を増やすこと
◎ 単位時間あたりの加工品目数を動作改善で増やしていくこと

を目標に改善へ取り組んでいます。

今回の支援を経て、お客様から嬉しいお声をいただきました。

周辺開発や競争の激化で、私たちのスーパーマーケットも売上低迷や運営効率の課題に直面していました。しかし、製造業のアプローチを導入することで新たな道筋を見出せました。

特に印象的だったのは【 生産性アップの支援 】です。レジデータを活用して売上の動向を見える化したことで、効率的なシフトや生産計画を立てられました。精肉部門で試作した【 生産管理板 】が非常に効果的だったと感じていますし、従業員一人ひとりの表情が変わり、職場の雰囲気も明るくなっています。

プロセスセンター建設へのサポートでも、弊社の立場に寄り添いながらデータに基づいた的確なアドバイスをいただき、建設業者との話し合いも安心して進めることができました。

業種を超えた支援を受けるという貴重な経験と学びを今後に繋げていきたいです。

今後も少子高齢化や周辺開発による市場のニーズは変化し続け、それに伴って売上も変わることでしょう。クライアントが取り組んだ「売上に左右されず、利益が出る体質」に向けた原価低減に、製造業のノウハウが少しでも貢献できたのであれば嬉しく思います。

普段、製造業の現場改善を主としているため、他業界の課題解決は初となる試みでした。
弊社としても、小売業の課題に従業員のみなさんと取り組めたことは、非常に学びの多い時間でした。

これからもローカルスーパーの成功例になるよう、クライアントの発展を見守り、支えていきたいです。

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