工場のルールが形骸化する原因と、“人を信じる設計”への処方箋

こんにちは。工場改善サービスの田代です。
今日は「ルールを守らせる必要がなくなる仕組み」についてお話しします。


■ ルールを守らせるのは、もう限界?

多くの工場では、
「ルールを守らせる」「注意を徹底させる」
というアプローチで現場を動かしています。

でも、正直しんどくありませんか?
・指差呼称してない!と毎日怒る
・手順書を見なさい!と毎日貼り直す
・あの人はいつも自己流で困る、とため息をつく

私は、思うんです。
ルールを守らないのは“怠けてる”からではなく、“守る理由が見えない”からだと。


■ お客様の顔が見えた瞬間、人は変わる

以前、あるお客様の工場でこんな改善を行いました。

それまでは分業体制で、各人が決められた工程だけをこなすスタイルでした。
でも、それだと「自分の作業がどんな製品になり、誰に届くのか」がまったく見えなかったんです。

そこで、**一人の作業者が一製品を最初から最後まで仕上げる“多能工化”**に切り替えていただきました。

すると――

  • 品質への意識がぐっと高まり、
  • 製品の見た目まで丁寧に整えられるようになり、
  • 最終的に「この製品、ちゃんとお届けできるかな」と、自発的に確認するようになったのです。

ルールを強化したわけではありません。
ただ、「自分の手で誰かに届ける」という実感を持てたことで、行動が自然と変わったんです。


■ 人は、迷惑をかけたくない生き物

これは私の信念ですが、
人は本来、“迷惑をかけたくない”と思って生きているのだと思います。

現場で手を抜く人だって、
→ 自分のミスで誰かが困ると「申し訳ないな」と感じている。
→ でも、誰が困るのかが見えないから、ピンとこないだけなんです。


■ 現場は「人と人の信頼」で動いている

ルールとは、本来「守らせるもの」ではなく、
**「信頼のリレー」をつなぐための“思いやりの約束”**です。

だからこそ、

  • 次工程が誰かを明確にする
  • 検査が誰のためかを伝える
  • 出荷先がどのお客様かを共有する

といった仕組みをつくることで、
ルールは“人の顔”を通して自然と守られていくのです。


■ まとめ:ルールの先に、人がいる

あなたの工場のルール。
その先に、誰の困り顔があるか?
誰の喜ぶ顔があるか?

見えるようにするだけで、現場は変わります。
人を信じる設計、始めてみませんか?

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