「悪いものを後工程に流さない」 ——品質をつくる土壌とは

製造業において、工程内不良やクレームを減らすための根本思想があります。
それは「悪いものを後工程に流さない」という考え方です。

これは単に「お客様に不良品を出荷しない」ということではありません。

工場内の各工程間、さらには作業者一人ひとりのレベルにおいても、悪いものを次の工程に渡さないという意識が必要です。
そのために、現場では知恵を絞り続けなければなりません。

良品をつくるための三つの条件

ある作業者が不良を流さないためには、次の三つが揃っている必要があります。

一つ目は、何が良品かを自分でわかっているか。
良否の判断基準が明確に身についているかどうかです。

二つ目は、確認する時間が取れているか。
いくら基準を知っていても、確認する余裕がなければ不良は見過ごされます。

そして三つ目——これが最も本質的です——

その人がプロ意識を持っているか。

プロ意識は「つくれる」

「プロ意識」と聞くと、その人の性格や気質に依存するように思えるかもしれません。
しかし、プロ意識は環境によってつくれるものです。

飲食店を例に考えてみましょう。

自分の担当が「切るだけ」「茹でるだけ」であれば、「どうせ後の調理担当や盛り付けの人が直してくれる」という気持ちが生まれやすくなります。しかし、切って・茹でて・盛り付けて・味付けして・配膳まで一貫して自分が担当するとなれば、同じ人でも意識はまったく変わります。

ある工場での実践事例

あるお客様の工場でも、不良の流出に困っていました。

その工場の特徴として、加工と検査を別々の担当者が行っており、しかもその間に物理的な距離と時間的なタイムラグがありました。

そこで取り組んだのは、加工と検査の時間的・物理的な距離を縮める工夫です。
極論を言えば、加工担当者が自分で検査まで行い、「これはお客様に届けられる」と自分が納得してから次工程に渡す——そこまでを目指した活動です。

これは、以前のコラム「イカが床に落ちなくなった事例」でもお伝えしたことと同じ本質です。
ブログはこちら

品質を向上させるのは、作業者の意識改革ではなく、環境づくりです。

「あの人は守らない」は、本当にそうか

現場でよく聞く言葉があります。

「あいつはルールを守らない」「あの人は雑だから」。

しかし、その同じ人が飲食店に行けば、お客様に悪いものを出そうとは思わないはずです。
それはなぜか。飲食店という環境が、プロとしての意識を自然に引き出しているからです。

「守らない人がいる」のではなく、守れる環境をつくれていないのです。

まとめ

まず「悪いものは後工程に流さない」という思想に立つこと。

そして、そうさせる環境をどうつくるかに知恵を絞ること。
品質管理の土壌はそこから始まります。

皆さんの工場でも、ぜひ環境づくりの視点から品質改善に取り組んでみてください。

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