【半導体装置】原因を人から仕組みへ 不良率を半減

半導体装置用治具 | 関東 | 10億未満 | 15名

社長の悩み

「不良が出るたびに、なんとなく対策してきた。でも、また同じことが起きる。」

工程内不良が9.4%で高止まり。特に接合技術による原因不明の不具合が7割を占め、毎日3時間以上を手直しや解析に費やしていた。

問題はそれだけではない。

  • 設計と製造の間で、責任の所在があいまいになっていた
  • 流出を防ぐために、社内で二重・三重の検査が行われていた
  • 手直しに備えて、納期1週間以上前から着手するのが当たり前になっていた

「問題の本質に迫れていない」という感覚はあった。
しかし、社内のリソースだけではどこから手をつけていいかわからない。そんな状況だった。

弊社が目指した姿

依頼のテーマは「不良率の低減」。しかし弊社が目指したのは、それだけではない。

伴走しながら、自分たちで問題を解決できる組織をつくること。

「私ができないことは、作業者もできない」を合言葉に、実験に一緒に取り組み、治具を段ボールで試作し、ときに自ら作業台に立つ。そうした現場密着のスタイルで、6ヶ月間向き合った。

現場を見て、気づいたこと

「原因不明」という言葉で、問題が先送りされ続けていた。

接合技術という特殊性から、完成状態では非破壊で原因を掴めない構造だった。そのため「わからない」で片づけられてきた経緯がある。各工程で何を保証しているかが整理されていなかったことが、根本的な課題だった。

さらに調査を進めると、当初は製造側の問題と見られていたものが、設計側にも原因があったことが判明。

問題が製造と設計にまたがっていたため、既存の推進体制のままでは解決が難しい状況だった。

工夫したポイント

ポイントは、「全員で問題を見る」状態をつくることだった。

特性要因図を使って可能性を全員で洗い出し、「どこまで潰し込めたか」を常に俯瞰する。チームメンバー全員の課題感を揃えることで、調査がバラバラに進む状況を防いだ。

また、問題解決を「製造だけの仕事」にしないため、社長に推進体制の変更をお願いした。設計と製造を統括できるポジションの方を推進者に据えることで、日常業務とプロジェクトの優先度を判断できる体制を整えた。

実施した改善

改善①:特性要因図の作成

プロジェクト開始当初、チーム全員で特性要因図を作成。4Mの視点で課題を整理し、今まで各自が個別に調査していたことを一本化。手がついていない課題を明らかにした。

改善②:QC工程表の作成

各工程で何を保証しているかを改めて整理。

工程の「関所」を機能させ、不良の自然減を狙った。

この過程で、ベテランから引き継ぎきれていない暗黙知が標準化され、接合作業の工程能力が確保できていないことも判明(Cp, Cpk<1.33)。設備条件の安定化につなげた。

改善③:やりにくい作業の撲滅

作業観察で、同じ品番でも製造時間に4〜5時間のバラつきがあることを発見。治工具の不足が原因だった。

  • 組付け治具:調整しながら組んでいたものを、置くだけで位置が決まるように
  • ポカヨケ治具:組付け方向を確認しながら組んでいた手間を解消

段ボールで試作し、原理品をその場で作る。直接的に作業が楽になるため、作業者から積極的にアイデアが出るようになった。

段ボールを使った試作品

改善④:推進体制の変更

設計・製造を統括するポジションまで推進者を引き上げ。課題の推進者が明確になり、メンバーが安心してプロジェクトに集中できる体制になった。

改善効果

取り組みから6ヶ月。

  • 不良率:9.4% → 3.4%(目標の50%減を達成)
  • 原因不明の不具合:ゼロ
  • 二重検査の廃止に向けた体制づくりへ移行
  • リードタイムの短縮プロジェクトも継続中

長年「原因不明」として責任の所在があいまいだった問題が、技術課題として可視化された。

社長の声

中小企業では、必要な専門スキルを持つスペシャリストが不足しており、問題の本質に迫ることができず、表面的な解決にとどまることが多いです。問題を体系的に理解し解決するために、外部の専門知識を活用することが重要だと、今回の改善を通して実感しました。

慢性化していた問題を6ヶ月で50%減させることができ、何より原因不明の不具合をゼロにすることができました。外部に伴走してもらい生まれる成果は、従業員の自信と意欲を高め、好循環を生み出すきっかけとなっています。なので数字に見えている範囲は小さくても、もっと広がりが出るだろうという期待が、今はあります。

中小企業が全ての業務を内製で処理するのは本当に難しいです。確かに経営者や従業員が新たなスキルを学ぶことも重要ですが、外部の力を借りる方が効率的です。しかし、外部利用には資金が必要です。ですが1度でも活用することで成功体験を得ると、そのメリットと価値は明らかになると思います。

田代さんには、引き続きサポートいただく予定です。今後もよろしくお願いします。

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