製造業で人が育たない工場に共通する、たった一つの光景
少し想像してみてください。
あなたが入社1年目の若い作業者だとします。
毎日の仕事は、旋盤の前に立って、スタートボタンを押して、機械が終わるまで待って、部品を取り出して、また押す。
半年後、あなたはその仕事を続けていますか。

「機械の番人」は人を壊す
ワンマン・ワンマシン。
つまり1台の機械に1人が専任でつく体制は、一見すると管理がしやすく安定して見えます。
しかし現場で長く見てきた私には、その先に二つの未来しか見えません。
一つは、つまらなくて辞める。
もう一つは、辞めずに「この機械だけのプロ」になり、自分の城を守る頑固親父になる。

どちらも、工場にとっては損失です。
辞められれば採用コストがかかる。
残った人が城を作れば、改善提案は通らなくなり、後継者も育たなくなります。
数千円のスライダーが変えたもの
あるクライアントの工場で、鋼管切断の工程に作業者が一人つきっきりでいました。
切断後の小さな部品が払い出しの受けに合わず、手で一つひとつ拾う必要があったからです。
改善はシンプルでした。
簡単なスライダーを自作して取り付けただけ。作業者は機械から離れられるようになりました。

重要なのはコストではありません。
その作業者が「機械の番人」から解放されたことです。
空いた時間で別の工程を覚え、複数の仕事ができる人間に育つ土台ができました。
人が育つ工場と、人が固まる工場。その分岐点は、案外こういう小さな一手にあります。
皆さんに問いたいのはここです
あなたが目指しているのは、どちらの工場ですか。
人が複数の工程を行き来して、お互いに助け合いながら柔軟に動ける工場か。
それとも、一人一人が自分の機械に縛られ、変化に対応できないカチコチの工場か。
ワンマン・ワンマシンを疑わずにいると、後者に自然となっていきます。
誰も悪意を持っていないのに。
ロボットも高価な設備も要りません。
「この人を機械から解放できないか」と社長が考え始めた瞬間、工場は変わり始めます。
今日、一つだけ問いかけてみてください
工場を歩いて、機械の前にじっと立っている人を見つけたら、こう自問してください。
「この人は今、やりがいを感じているだろうか」
その問いが、改善の第一歩です。

