現場で見た、パートさんが動き出した瞬間

「昔の人と今の人は違う」という思い込み

工場改善サービスの田代です。

先日、以前からお付き合いのある工場に改善支援に行きました。パートさんが作業の中心を担う会社です。

マネジメント層の方々には、ある思いがありました。「昔のパートさんは自分から動いてくれた。今の人たちは言われたことしかやらない」というものです。現場の意欲が下がったと感じている。そういう会社でした。

コンベア4枚を、その場で2枚に

現場を視察していると、2名の女性が担当するラインがありました。2メートルほどのコンベアを4枚つないだ工程です。

見ると、コンベアとコンベアの間を詰めれば明らかに減らせる。同行していたマネジメント層4名と確認し合い、「ここ、詰めてみましょうか」とその場でコンベアを2枚に減らしました。

マネジメント層が自ら手を動かして改善に加わる。その姿に、周囲も注目していました。

「来月、アイデアを出してみてください」

私はひと目見て、もう1枚減らせると感じていました。そこで、その女性にこう伝えました。

「ここをこうすると、コンベア1枚にできますよね。来月また来ますので、ぜひアイデアを出してみてください。」

そして隣にいた社長に、冗談半分にこう言いました。「1枚にできたら1万円出すって言ってましたよね。」

社長は「えー」と苦笑い。

じっとコンベアを眺める背中

そのとき、女性がこう返しました。「本当ですか?」半分冗談、半分本気の声でした。

そしてそのまま、自分のコンベアをじっと眺め始めたのです。

台所をどう使えば効率がいいか考えるときの、あの姿勢です。私はその背中を見逃しませんでした。一緒にいたマネジメント層も、その様子をじっと見ていました。

人が動かないのは、ゴールが見えていないからだ

この光景から言えることがあります。

現場の人が動かない、主体性がないと感じるとき、本当の原因は何でしょうか。

その女性には、ゴールがはっきり見えていました。「コンベアを1枚にする」という具体的な目標と、「1万円」という対価。それが示された瞬間、自分で考えようとし始めた。

人が動かないのは、意欲の問題ではなく、ゴールが見えていないからかもしれません。「昔の人と今の人は違う」と嘆く前に、「ゴールを示せているか」と自問するべきです。

一緒にいたマネジメント層の方々も、後でこうおっしゃっていました。「正直、勘違いしていました」と。

あなたの現場に、ゴールは見えていますか

人を生かすも殺すも、環境次第です。

作業者が「何をすれば認められるのか」「どこへ向かえばいいのか」「頑張れば自分の評価につながるのか」。それが現場に見えていますか。

ゴールを示すだけで、人はこんなにも変わる。その瞬間を目の前で見た出来事でした。

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