「じっくり考えてから」という思い込み
工場改善サービスの田代です。
先日、ある工場の改善会でのことです。まず手をつけたのは、工場の真ん中に積まれていた空箱でした。とりあえず、これを運び出そう。それだけです。
すると、面白いことが起きました。
真ん中がすっきりした瞬間、壁ぎわに置かれた棚が、急に目につくようになったのです。「じゃあ、この棚を空いた真ん中で使ってみようか」。皆で動かしてみる。動かしているうちに、誰かがふと言いました。「これ、棚じゃないとダメなんですか?」。
結局その棚は、その日のうちに捨てられました。
誰も最初は「棚を捨てよう」とは思っていなかった
ここが肝心です。改善会が始まった時点で、「棚を捨てよう」と考えていた人は、一人もいませんでした。
空箱を運ぶ。ただその一歩を踏み出したから、次に棚が見えた。棚を動かしたから、「そもそも要るのか」に気づけた。
改善は、頭で考える前に、まず「気」なのだと思います。場が淀んでいると、思考も止まる。逆に、体を動かせば、頭のほうが勝手に動き出す。順番が、多くの人が思っているのと逆なのです。
6割、7割で動いていい
「まだ情報が足りない」「もう少し考えてから」。そう言っているうちに、場は淀んでいきます。
私の感覚では、6割か7割の材料がそろったら、「まあ、やってみるか」で動いた方が、答えは良い方向に進みます。全部そろうのを待つ人より、先に動いた人が、正解に近づいていく。
もちろん、闇雲でいいわけではありません。ある程度の方向性は要る。でも、その方向さえ定まれば、あとは動きながら考えればいいのです。
評論家になるな。まず、一つだけ
「ああだこうだ」と言うのは簡単です。けれど、実際にやれるかどうかは、まったく別の話です。
私自身、現場で口にするのは、たいてい一つだけにしています。二つ三つ言っても、人はできないからです。まず一つ。一個ずつ。それを片づけたら、次の一つ。
動き出しさえすれば、あとは現場から「これもやってみよう」「あれもどうだろう」とアイデアが出てきます。最初の一つが、すべての呼び水になるのです。
意識したいのは、質でも金額でもなく、スピード
改善というと、私たちはつい「どれだけ良くなったか」「いくら儲かったか」を語りがちです。もちろん大事です。
でも、私がひそかに一番見ているのは、スピードです。「今日はみんなで改善をやろうか」と声をかけて、30分以内に最初の一歩が出るかどうか。正直、そこで動かない日は、その日はうまくいかないことが多い。私だって毎回成功するわけではなく、これは訓練です。それでも、この最初の一歩の速さを、皆さんは意識しているでしょうか。
あなたのこの前の改善会。最初の一歩は、何分で出ましたか。
