「うちは分析力が弱い」という思い込み
工場改善サービスの田代です。
先日、ある会社さんから「なぜなぜ分析を教えてほしい」とご依頼をいただき、講義に伺いました。基本の考え方をお伝えしたあと、皆さんが最近書いたなぜなぜ分析を見せてもらい、私が採点する、という流れです。
ところが結局、その日は、なぜなぜ分析そのものには取り組みませんでした。
問題は「なぜ」ではなく「何を」だった
皆さんの分析を見て気づいたのは、「なぜが甘い」ことではありませんでした。もっと手前、「何を解決するのか」が弱かったのです。
なぜなぜ分析は、下手をすると言葉遊びになります。そして、言葉遊びになってしまうのは、実はシンプルな理由です。それだけ、本気で困っていないから。
本当に困っていれば、人は本気で考えます。本気で対策をひねり出します。逆に、どうでもいい問題を、どうでもいいように解いていれば、なぜは浅くなり、前後もつながらなくなる。分析の技術以前の話なのです。
「弱い」のは現場ではなく、課題設定かもしれない
だから、「うちはなぜなぜ分析が弱い」と感じている会社があれば、私はこうお伝えしたい。
弱いのは、現場の人たちの言葉の能力ではありません。管理側が、どの問題に向き合わせているか。そして、本気で向き合わざるを得ない環境を、つくれているか。 まず反省すべきは、そこです。
なぜなぜ分析の本当の入り口は、「なぜ」を五回繰り返すことではなく、「何の、どんな問題を解くのか」を選ぶことにあります。
本気を生む環境の正体は、リードタイム
では、本気で困る環境は、どうすれば生まれるのか。私の答えは、リードタイムを短くすることです。
リードタイムが短いと、一つの問題が、全体にすぐ影響します。つまり、問題が隠れずに顕在化する。すると人は、本気で考えざるを得なくなります。
さらに、リードタイムが短い現場では、自分が誰の何のために働いているか、自分の仕事が誰の前の工程なのかが、やっている本人に見えるようになります。だから、一つひとつの動きに神経を使う。何か起きたときに、本当に問題を解決しようとする。そして、その解決が全体に貢献するのだと、腹落ちしていく。
先日のセミナーも、結局は「何のためにやるのか」「なぜリードタイムを短くする必要があるのか」「皆さんが解こうとしている問題は、会社にとってどんな位置づけなのか」。ここに、いちばん多くの時間を割くことになりました。
おかげさまで、その講義は大好評でした。アンケートの結果も、とても良いものでした。なぜなぜ分析は、決して言葉遊びではないのです。
もし現場のなぜなぜが響かないと感じるなら、問い直すのは現場の言葉ではなく、管理側の課題設定かもしれません。あなたは今、現場に「本気で困る問題」を、渡せているでしょうか。
