その仕事、本当にAIですか
「導入すれば儲かる」という思い込み
工場改善サービスの田代です。
先日、ある会社から相談を受けました。「AIDXでスマートファクトリーをやりたい」。意欲のある、いい会社です。私は即答しました。「いいですね。絶対にやるべきです。」
否定する気は、まったくありません。AIもロボットもDXも、人の手では届かない速さと生産性を生む。これは本物です。
ただ、ひとつだけ聞き返しました。「それ、どこで使いますか。」
居酒屋のタブレットは、正解か
最近の居酒屋は、タブレットで注文しますよね。速いし、客の好みも履歴もデータで取れる。次のおすすめにも使える。経営から見れば、文句のない仕組みです。
でも、想像してみてください。
アルバイトの子が、目を輝かせてこう言う。「私、これ試食させてもらったんですけど、本当に好きなんですよ。」あるいは、「店長、こんなメニュー作ってみてください」と自分から言ってくる。

ところが、タブレットには、これができません。
会社は、働く人がいて、お客さんがいて、はじめて成り立つ。
さて、儲けるために本当に必要なのは、どっちでしょうか。
ロボットを入れたら、もう止められない
製造業でも同じです。AI・ロボ・DXが本当に効くのは、繰り返し作業のところ。新しい価値を生む場面では、人の想像力が欠かせません。アプリ一つ作るにも、「何をすれば課題が解決するか」が見えていなければ、指示すら出せないのですから。
しかも、繰り返し作業ですら、専門用語で言う整流化、つまりモノと情報の流れを整えてやるだけで、ロボットまで要らなくなることが、意外とあります。
それに、一度ロボットを入れたら、やり続けるしかない。
この変化の時代に、自分の手で触れて、必要なら止められる身軽さは、それ自体が立派な財産です。
最後に信じられるのは、人だ
この先は、誰にも分からない未来です。
「まあ、これはやめておこう」。そう判断できるのは人です。AIを作ったのも人。いま使っているパソコンも、誰かが生み出したもの。人を信じられないところからは、何も生まれません。
私たちの目的は、ツールを入れることではない。会社を儲けさせることです。だから、手段と方法を、間違えてはいけない。
あなたの現場では、人が主役のままですか
AI・DXは、絶対に使うべきです。ただし、ルーティンは機械に、創造は人に。

ここを取り違えた瞬間、いちばん大事なものが現場から消えていきます。
経営者・管理者が本当に頭を悩ませるべきは、ここです。「そのAIを作った人を、超えていく人を、どう育てるか。」
道具に何をさせ、人に何を残すか。あなたの会社は、もう決めていますか。

