失敗を設計せよ ―現場で考え、自ら動く若手技術者を育てるには―
若手技術者が育たない。
現場ではそんな声をよく聞きます。
- 「指示待ちになってしまう」
- 「自分で考えて動かない」
- 「若手のやりたいが、わからない」
また、育てようとしても
「そもそも実践の場がない」
という悩みもよく聞きます。
私は改善コンサルタントとして、多くの会社の現場を訪れています。
そして現場では、レイアウト変更や作業方法の見直しをその場で考え、まず2時間でも試してもらうことを大切にしています。
もちろん、すべてが成功するわけではありません。
失敗することもあります。
ある飲み会の場で、友人にこう聞かれました。
「トヨタにいたときも改善していたよね。
今も同じことをしている。何が違うの?」
私の口は、こう答えていました。
「トヨタのときは“失敗するな”。
今は“失敗しろ”。」
失敗は最高の教材
例えば自転車に乗るとき。
最初から上手く乗れる人はいません。
転びながら、体で覚えていきます。
一度体で覚えたことは、簡単には忘れません。
そして、もう一つ大事なことがあります。
それは
「転んでも、また立ち上がる」
という経験です。
失敗を経験することで、
- 折れない心が育つ
- リスクの見積もりができるようになる
- 自分の限界がわかる
ようになります。
つまり失敗とは、
ゴールに向かうための通過点なのです。
だから私はこう言いたいのです。
「失敗を設計せよ」
今は失敗しにくい時代
とはいえ、今の時代は簡単に失敗できません。
国内産業が減り、
現場の経験機会が減りました。
安全ルールも年々厳しくなっています。
私自身、前職で不安全行動をして怒られたことがあります。
しかし、昔は許されていたことでも、
多くの事故や怪我を経てルールができました。
ですから、今の制約は仕方がない部分もあります。
だからこそ重要なのが
管理者が「失敗を設計する」こと
です。
自転車で例えるなら、
- 転んでも大きな怪我をしない場所
- また立ち上がれる環境
- 必ず見守っている大人
この3つが必要です。
具体的にどうするか
私が提案したい方法は二つあります。
① モデルラインをつくる
まずは社内に
「自由に試せるライン」
を作ってください。
例えば
- 手書きの仕組み
- 構造が分かりやすい設備
- 自分たちで改造できる機械
などです。
生産量は少なくても構いません。
重要なのは
自分たちで触れる環境
を作ることです。
② 外に出る
とはいえ、大手企業では簡単ではありません。
設備も工程も止められないからです。
その場合は
外に出てください。
私は独立してから、さまざまな業界の現場を見てきました。
- 食品工場
- クリーニング工場
- 繊維工場
こうした現場には、まだまだ改善の余地があります。
そして実際に
「手伝ってくれる人」
を求めている現場も多いのです。
外に出て、
- 試す
- 失敗する
- また挑戦する
この経験が、技術者を成長させます。
若手を育てる前に
そして、最後に一番お伝えしたいことがあります。
まず管理者が失敗してください。
若手は、言葉ではなく
背中を見ています。
管理者が挑戦しているか。
失敗しても立ち上がっているか。
そこを見ているのです。
若手が育たないのではありません。
挑戦する姿を見ていないだけかもしれません。
だからこそ、
- 社内で試せる環境を作る
- 外に出て挑戦する
その姿を、まず管理者が見せてください。
もし外に出る環境がないなら、
ぜひ私にご相談ください。
挑戦できる現場はいくらでもあります。


